卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。(校長メッセージ) | 立教新座中学校・高等学校

歴史上かってない惨状が今も日本列島の多くの地域に存在する。
あまりに痛ましい状況である。
祝意を避けるべきではないかという意見もあろう。
だが私は、今この時だからこそ、諸君を未来に送り出したいとも思う。

惨状を目の当たりにして、私は思う。
自然とは何か。
自然との共存とは何か。
文明の進歩とは何か。
原子力発電所の事故には、科学の進歩とは、何かを痛烈に思う。

原子力発電所の危険が叫ばれたとき、私がいかなる行動をしたか、悔恨の思いも浮かぶ。
救援隊も続々被災地に行っている。
いち早く、中国・韓国の隣人がやってきた。
アメリカ軍は三陸沖に空母を派遣し、ヘリポートの基地を提供し、ロシアは天然ガスの供給を提示した。
窮状を抱えたニュージーランドからも支援が来た。
世界の各国から多くの救援が来ている。

地球人とはなにか。
地球上に共に生きるということは何か。
そのことを考える。

鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。
愛される存在から愛する存在に変われ。
愛に受け身はない。

いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。
いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。
海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。

真っ正直に生きよ。
くそまじめな男になれ。
一途な男になれ。
貧しさを恐れるな。
男たちよ。船出の時が来たのだ。
思い出に沈殿するな。
未来に向かえ。
別れのカウントダウンが始まった。
忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を忘れるな。

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